INTERVIEW

港区にある清潔感漂うスタジオは夕日を包み込むように建っていた。
久方ぶりに会う彼らはあの頃と何も変わらず、それでいて大人の佇まいをしていた。
私は彼らがデビューした頃に何度かインタビューをさせてもらったのだが、紆余曲折を得て今は違う仕事をしていながら今回再び話を聞くこととなった。
あの頃と変わらず睡眠不足気味のしげるが到着して全員が揃い、久しぶりのインタビューがはじまった。


ーまずはレコーディングお疲れ様でした。ー
メンバー:ありがとうございます。


ー率直にレコーディングが終わって今思うことは何ですか?ー
清正:今回は、レコーディング期間中に車で事故を起こし、リリースの延期という可能性もありました。
ですが、沢山の方々に手を差し伸べていただいた甲斐もあり、中断、延期する事なく無事録り終える事が出来ました。
そのことにただただ感謝です。本当にありがとうございました。
リリースする度に「最高の作品」と言ってきましたが、今回も変わらず「最高の作品」となりました。


ーHPで見ました。大変な事故だったとか…ー
代谷:ま、僕はギリギリまで寝てたんであんま覚えてないんですけど。
一同:笑
タツオ:ま、生きててよかったね。


ー話を戻します、笑。前作『7170』から2年経ちますが変わったことはありますか?ー

代谷:まず曲数が多い!笑
一同:そこかいっっ!笑
代谷:でも、ファーストアルバム以来の14曲で、できる限りたくさんの新曲をと、しげるがどんどん書き下ろしを出してきて…。
本当に素晴らしいクオリティーの新曲ばかりで、バイタリティ豊かなアルバムになったと思います。
タツオ:僕はより自然体になったのかな、と思います。
もちろん、前作も自然体でしたが、僕にとっては前作がデビュー作、今回は更に磨きをかけた2ndのような気持ちもあります。
しげる:そらそうやろ。あんた加入して前回が1回目で今回が2回目なんやから。

一同:大爆笑

しげる:何が変わったかわからないけど、誰でも2年前の写真と見比べると変わっている。
それくらいの変化でも大きな変化で、どう生きてきたのかが出ているようにも思います。


ーもう20年選手のニュートラルですが、今回のレコーディングで苦労したこと、上達したことなどありますか?ー
清正:14曲それぞれの色付けにかなり苦戦しました。
デモの段階では、赤系、青系といった大ざっぱな印象だったものに色を加えていき、個性を出してくのですが、曲の世界観から外れたり、物足りなかったりと短期間にかなり紆余曲折しました。
結果どの曲も、僕を含めメンバー全員が納得いく仕上がりになって正直ホッとしてます。
今回は、かなりタイトなスケジュールの中でのレコーディングだったので、ギターを持てない時は、口でフレーズを歌い録音したり、イメージを紙に書いたりと、出来る事はなんでもやりましたね。
おかげで、ギターを持った状況では、出てこなかったであろうリフやフレーズがたくさん盛り込めました。
以前の自分なら有無も言わずギターを抱え悪戦苦闘していたんでしょうが、この手法は、かなり大きな収穫でした。


代谷:俺は音やリズムの言語化に苦労したかなぁ。改めて目に見えへんものを形にする難しさを感じたかなぁ。
しげる:バンド組んでからずっと苦労してるし、ずっと上達してると思う。だからまだやれるのかな。
たださっき言いそびれたけど、今終わって率直に思うのは、もうしばらく曲作りはええわぁってことかな。
メンバー:笑


ーニュートラルはどのように新曲を作るのですか?ー
清正:スタジオでしげちゃんが歌うか、デモを送ってくるかなんやけど、今回はデモが多かったね。


ーデモの段階で印象に残った歌はありますか?ー
タツオ:『HANASACLASH』ですね。こんな速い曲やるんだ!と思いました。もちろん大賛成でしたが。

イントロのギターリフで「お!」っと感じた、『君の街に僕は行く』も印象的。

しげやんのセンスが光ってる。

清正:僕は…どれも印象的でしたが、強いて挙げるなら『リリー』です。
ギター1本に歌詞のない鼻歌のデモが送られてきたのですが、初聴きで勝手に「アルバム1曲目確定」と思ってましたからね。
瞬間的にメインリフが幾つも思いついた事を強く覚えてます。
あと『君の街に僕は行く』も。
メンバー:笑
ーなんですか、その笑いはー
清正:デモの段階でギターのメインリフが入っていて、これがなかなかな良い味を出しておりまして。笑
コミカルなのにロックであり、タイトに運ぶところを敢えてルーズに…世間では、これを「ヘタウマ」と言うのでしょうが、僕は敢えて言いません。
だって真似出来ないんですから。あのニュアンスを出せているかわかりませんが、リフはそのまま録音させていただきました。


ーなるほど。でもなんとなくわかります。ミック・ジャガーのギターもそういうニュアンスありますよね。
非常に答えにくい質問かもしれませんが、撮り終えて個人的に思入れのある曲、パート目線以外での楽曲として思入れのある曲を教えて下さい。ー
代谷:答えにくいですね~。
メンバー:笑
代谷:でもやっぱ『平成が終わる』『頑張れオレ』かなぁ。

この二曲はピアノを染谷俊さんに弾いて頂いたんですが。

僕らが高校生の時にヨウゾウの部屋で何度も何度も聴いていたあの染谷さんに弾いてもらえるなんてって…感動して。
僕らの曲に染谷さんの美しいピアノの旋律が流れた瞬間、涙がこぼれて…。

ほんまにあの頃のオレやヨウゾウに聴かせたくなったんすよ。

なんか僕らの道に染谷さんが少し歩み寄ってくれて、素敵なメロディーを重ねて、また別れたみたいな。

次にまた会う約束もしてもらえた。

本当に佇まいがカッコよかった。ああいう大人になりたいなぁと高校生の時と同じ気持ちになったっすよね。
しげる:俺はよくわかるよ。その気持ち。
清正:僕もギター以外の目線だと『平成が終わる』ですね。染谷さんにほぼ即興で弾いていただいたピアノがこの曲の世界観を決定付けましたね。
何より、僕を含めメンバーが学生時代に染谷さんの曲をカセットテープが伸びきるくらい何度も聞き倒し、その楽曲制作に参加されてた方が、ニュートラルがデビューした頃からお世話になっているプロデューサーだったりと、思い入れが出ないわけがないですね。
またご一緒したいです。


タツオ:僕は『シュークリーム』でしげるの声がスタジオに響いた時点で鳥肌モノだったし、染谷俊さんの素晴らしいピアノも聴ける2曲も勿論、あの事故以来、意味合いが更に深くなった『ハイエース』…。
キリがないけどしげるの、そして我々のメッセージが詰まった全曲かな!!
代谷:全曲は言いっこなしやで!!
メンバー:たしかに。
しげる:僕は製作者なんで思い入れがあるというのはやめておきます。


ーしげるさん昔からそう言いますよね?ー
しげる:そうでしたっけ?ま、ぶれてないってことで。笑


ーでは、最後にファンの方へツアーの意気込みを教えてください。ー
清正:「本当に良いアルバムが出来ました。しかしここからがニュートラルの真骨頂です。
音源を聞いた時に芽生えた感動を超える感動をライブで体感してもらう。
その為に、出来うる限りの準備を精一杯やりたいと思っています。
今作、楽曲の大半が未発表とあって演奏する僕達自身いい意味で緊張していますが、新曲達とステージに立つ日を本当に楽しみにしています。


タツオ:今回は長いレコーディング中、本当に色々ありました。 しかし、支えてくれてるみんなのおかげでこの愛しいアルバムが完成しました!
この新しいアルバムと、新しいハイエースでみんなの住む街にライブしに行くぜ!お楽しみに!!


代谷:新しいアルバムを携えて、君の街に僕らは行きます。たくさん新曲ができたので、みんなとキャッチボールしながら新しいライブを作り上げて行くのが、これまた楽しみです。
僕ら自身がワクワクしてるから、どんなツアーになるのか?想像つかないけど、きっとまた良い旅ができると思ってます。
みんなに会いに行きますね。待っていてくださいね。


しげる:新しい曲を作ってライブをする。それを繰り返して20年です。千秋楽の来ない音楽ロードみたいなもんです。
俺たちはあの頃と変わらず少しずつ進化して今THE NEUTRALの最前線のピークにいます。
いつでも君たちを音楽好きに戻すので、また会いに来てください。

いや、君の街に僕らが行くから覗きに来てください。

音楽好きだったあの頃の君に会えると思います。



Twitterで「頭のいい作品ができた」と表現していたのが妙に納得ができる時間だった。
この作品を聴いて好き嫌いは必ずしも出るだろう。表現するということは賛否が出ることから避けれない。
ただこの作品を聴いて幼稚だと言える者はいないと断言できる。

アルバムタイトル『Take the high road』は日本語にすると正々堂々。

正々堂々彼らは彼らのロックの生き様を見せてくれ、その上に実力と経験と知能が載せられている。
ズドンとど真ん中に刺さる音楽。
THE NEUTRALの本質のようなアルバムになったように感じた。
インタビューを終え、エレベーター乗ってもう一度マスタリング前の彼らの歌を聴いた。
『リリー』が流れ、私は安堵にも似た気持ちで帰り道を辿った。
この世界を愛してる…そんな気持ちになった。


SHIN